「死と看取りセミナー2:死とは何か――私たちの死生観を掘り下げるために」

「死と看取りセミナー」シリーズ2を開催します。このシリーズは、団塊世代の多死時代を迎えるこれから、「看取る家族はどのように家族の死と向きあったらよいのか、逝く人は自らの最期をどのように受け止め、迎えていくのか」を、基本の問題意識として、大きく医療、宗教、スピリチュアリティ(霊的・実存的領域)の、3つの視点から講座を展開しています。

好評をいただいたシリーズ1(https://peatix.com/event/3269312/view)は、豊かな最期を迎えるためにはどうしたらよいかを、実践的、具体的に考えました。今回のシリーズ2ではより踏み込んで、死をめぐる価値観、自分自身の、あるいは大切な人の死を前にした時に問われてくる「死生観」、あるいは大きく「生命観」について考えていきたいと思います。

終末期、死に向き合う時間の中で、現代の私たちは何を考え、何を思い、何を感じ、どう死を受け入れていくのでしょうか。

カナダのマギル大学 バルフォー・M・マウント名誉教授は『新たな全人的ケア』(トム・A・ハッチンソン[編]、恒藤暁[訳]、公益財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団、2016年、p.xiv)の中で次のように書いています。

「4つの重要な実存的問題がわれわれの人生を悩ませる。つまり死(存在が消滅すること),孤独(自己と他者との間に埋められない隔たりがあること),自由(不安になるほど外的組織に属さないこと),意味(意味が不確かな世界におけること)である。これらの脅威は病気の時に増大する。しかし、これらの問題は現在の医療パラダイムの範囲を明らかに越えており,診断や治療において通常,無視される。」

つまり、人生を悩ます4つの実存的問題として、

1.死――消滅への不安

2.孤独――他者との関係性

3.自由――所属すること

4.意味――不確かさ

があり、それらの問題は病気の時に強くなるが、医療では、無視されているということです。現在の医療ではまだスピリチュアリティの問題には、正面から焦点の当たっていないことがうかがえます。

死と向き合う時間を得た私たちは、「死を受け入れるために」「安らかに死ぬために」、そして「心置きなく送るために」「喪失を受け入れるために」、何をし、どう考えたらよいか、その問いに直面せざるを得なくなっています。死に逝くとき、人はそれまでは関心を寄せなかったことにも心を開き、自身の心と向き合うのかもしれません。「私にとって」の死と看取りとは、「目前の大切な人において」の死と看取りとは、という視点を大切にして、死と看取りを考えていきたいと思います。

一人一人の死生観に訴え、死と看取りの時間が豊かなものになるよう、その可能性を開くセミナーを目指しております。 皆様のご参加をお待ちしております。

第1回 2022年11月30日(水)
香山リカ先生(むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長)×井上ウィマラ先生
(元高野山大学教授、マインドフルライフ研究所オフィス・らくだ主宰)
テーマ「地域医療と看取り」

第2回 2022年12月12日(月)
佐々涼子先生(ノンフィクション作家、『エンド・オブ・ライフ』)×藤田一照先生(禅僧、『現代坐禅講義』)
テーマ「宗教心と最後の時間 逝く人、看取る人にとっての宗教の意味」

第3回 2023年1月18日(水)
竹倉史人先生(宗教人類学者、『土偶を読む』『輪廻転生』)×アルボムッレ・スマナサーラ長老(テーラワーダ仏教長老、『怒らないこと』)
テーマ「輪廻転生」

第4回 2023年1月25日(水)
島薗進先生(上智大学グリーフケア研究所所長、東京大学名誉教授)
テーマ「私たちの死生観」

■時間
各回20:00~21:30

■チケット(税込)
各回:3500円(当日参加+見逃し配信)
全4回通し券:12,000円(当日参加+見逃し配信)
全4回見逃し配信のみ:10,000円(見逃し配信のみ。2023年1月31日(火)20時まで販売)

※全ての回の見逃し配信は2023年2月1日(水)までの予定です。